「しょろトンボ」(毎日新聞鹿児島県版 13、10、16掲載)
お休み中のウスバキトンボ
毎日新聞鹿児島県版にある「はがき随筆」に掲載された小生の作品と、入選はしなかったけれども、選者の評を掲載いたします。
[ウスバキトンボは夏にはどこでも見られるトンボで、他のトンボは減っているのに、今も変わらず大空を多く飛び交っている。8月の盆の頃は特に多く、私どもは「しょろ(精霊)トンボ」と呼んでいた。 子どもの頃、親から「ご先祖様がしょろトンボに乗ってあの世から帰って来るから捕っては駄目」と聞かされていた。だから私は、今でもしょろトンボには畏敬の念を持っている。
このトンボは越冬はせず、毎年、南方から海を渡って飛来することを最近知った。ウスバキトンボは今日も、澄みきった秋空を悠然と飛んでいる。]
選者の評
「一木法明さんの「しょろトンボ」は、お盆に先祖の霊を運んでくるといわれる精霊トンボが、国内での羽化ではなく、南方から毎年飛来する種だということを知り、いよいよ、畏敬の念を抱いたという内容です。こういう知らないことを教えてもらえる文章は貴重です。」(鹿児島大学名誉教授 石田忠彦)
数が少なくなったアキアカネ