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ことだま日記

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南日本新聞「ひろば」より

              南日本新聞「ひろば」の掲載より
 
 本日の南本新聞の「ひろば」に掲載された私の投稿作品、「かく病みたいと感じ入った」が掲載されていましたので、下記に転載して紹介させていただきます。
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        「かく病みたいと感じ入った」(南日本新聞ー28、9、8掲載)

 米寿を過ぎた男性が肺を患って鹿屋市の病院に入院した。20年来の付き合いで、気になって見舞いに行った。
 体には、酸素マスクをはじめ何本もの管がつけられていた。予告なしに病室を訪ねたので彼は驚いていた。無理して起き上がらろうとするのを制した。
 「生きるのも大変ですが、病むのも大変ですね」と語りかけると、彼は「お浄土へ生まれる時の苦しみでしょう。あとひと踏んばりのようです」と、うっすらと笑みを浮かべて応じた。
 「あわてなくても必ずお迎えがきますよ」と言うと、彼は「お任せです」と合掌した。短い時間の見舞いだったが、彼としかできない会話ができてうれしかった。ことの外喜んでくれ、手を振って別れた。
 「どうよく老いるか」「どうよく病むか」「どうよく死ぬか」。こんなことについて説法することがありますが、心底納得できるのは難しい。それでも「お任せ」と言う彼の心境を垣間見て、自分もかく病みたいと深く感じ入って病院を後にした。
by butda2 | 2016-09-08 21:52