ことだま日記

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お経の本はなぜ赤いの

             浄土真宗の経本の表紙はなぜ赤いの?
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 浄土真宗の経本の表紙は、ほとんどが赤色です。これには理由があるのです。
 むかしむかし、本願寺八代門主蓮如上人が越前吉崎の御坊にいらしたとき、大きな火事がありました。火はまたたく間に広がり、蓮如上人は拝読していた「教行信証」六巻のうちの「証」の巻を持ち出すことができませんでした。印刷技術がなく、紙が貴重であったこの時代、教えの根本となる聖典は大切なものでした。しかもこの本は、宗祖親鸞聖人の真筆、代わりのきかないものです。
 このことを耳にした本向坊了顕(りょうけん)というお弟子さんは「取ってきます」と、蓮如上人やそばにいた人々を振り切り、火中に飛び込みます。
 了顕は、やっとの思いで書院にたどりつくと「証」の巻はまだ燃えずに机の上にありました。これを手にし、引き返そうとしますが、もう火が廻り、行く手をさえぎっています。このままだは命もろとも聖典が燃えてしまう。了顕は覚悟をきめ、その場にドカッと座ると、腹を十字に切り裂き、腸をつかみ出し、腹の奥に「証」の巻を摂(おさ)め入れ、真っ赤に染まった経本を抱くようにして守りました。
 ようやく火が収まり、焼け跡から了顕の御遺体が見つかりました。抱えるようにした腹から、焼けることなく守られた「証」の巻きが出てきました。蓮如上人は涙ながらに了顕の顔をなでると、見開いていたままの両目は、優しく閉じられたと言われています。
 お経の本の表紙が赤いのは、先達が命を懸けて守り、それが今日まで伝えられてきたという意味が込められています。            (専念寺報6月号より  専念寺三世 釈法誠書く)
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by butda2 | 2018-06-20 10:46