「人生を自分らしく締めくくる」(南日本新聞「ひろば」より)
南日本新聞「ひろば」欄に投稿していた「人生を自分らしく締めくくる」が、先日掲載されていましたので、下記に掲載いたします。
「人生を自分らしく締めくくる」
(南日本新聞「ひろば」H30、7、15掲載)
何をもって孤独しというのだろうか。ホスピスに長年携わっていた臨床医は、孤独死についつて「居場所のない死に方」「愛のない死に方」「心のよりどころのない死に方」の三つを挙げている。
家族の中にあっても、居場所のない死に方や愛のない死に方もあるという。一方、たとえ一人であっても、心のよりどころを持つ人は孤独死ではないという。
「終活」という言葉をよく目にする。人生の終末に向けての活動や準備で、いかにして人生を自分らしく締めくくるかということだ。苦労して育てた子どもも、自分が老いて病んだときには、なかなか頼りにならない。子どもに介護を期待する時代は、なくなりつつあるようだ。
人生を旅に例えた古人は多い。行き先がない旅は旅ではない。自分の人生がどこに向かっているのかも意識せずに、年を重ねるのは不安である。終活にはいろいろな方法があるが、まずは人生という旅の行き先をはっきりさせ、心のよりどころを持って、一人であっても孤独死でない最期を迎える心の準備が、何よりも大切ではないか。 (僧侶 一木法明 82)